日常生活で欠かせないストーマケアのポイント。 正しいケアで皮膚トラブルを防ごう

日常生活で欠かせないストーマケアのポイント。正しいケアで皮膚トラブルを防ごう

ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を造設したオストメイトの方が健康で快適に過ごすには、ストーマや周囲の皮膚を清潔に保つ必要があります。皮膚トラブルを防ぐために、日々のストーマケアを適切に行うことが大切です。
また、状況によっては家族の方がケアを行うこともあるでしょう。いざという時のために、ストーマケアの方法を知っておくと便利です。
ここでは、術後の日常生活におけるストーマケアの方法をご紹介します。

日々のストーマケアで行うこと

日々のストーマケアで行うこと

日常的に行うストーマケアには、排泄物の管理やストーマ装具の交換などがあります。日々のストーマケアの概要や方法は、以下のとおりです。

1. 排泄物の管理

ストーマには排泄物をためたり、我慢したりする働きがありません。ストーマ造設後、排泄物はお腹に貼ったストーマ袋(パウチ)で受け止めることになります。
そのままだとストーマ袋内に排泄物がたまっていくため、定期的に処理することが大切です。

ストーマ袋の下部がクリップやキャップで閉じられている「開放型」の場合は、下部を開いて袋内にたまった排泄物をトイレに流すことで処理できます。
外出前や就寝前、スポーツを行う前、入浴前など、排泄物を長時間処理するのが難しい時は、事前にストーマ袋の中を空にしておきましょう。

2.ストーマ装具の交換

ストーマ装具は使い捨てなので、定期的に交換する必要があります。ストーマ装具の交換手順も、オストメイト本人や家族の方などは覚えておきましょう。
基本的なストーマ装具の交換手順は、以下のとおりです。

【ストーマ装具の交換手順】
1.ストーマ装具の交換に必要なものをそろえる
2.袋内の排泄物を処理する
3.剥離剤(リムーバー)などを使いながら、貼っている装具を剥がす
4.ストーマの周囲を洗う
5.ストーマのサイズを測り、サイズに合わせて面板に穴をあける
6.新しいストーマ装具を貼りつける

ストーマ装具の交換方法の具体的な手順や注意点は、以下のページも併せてご確認ください。

ストーマ装具の交換方法。知っておきたいセルフケアのコツ
⇒https://www.kuribarastore.com/shop/pg/1stoma1/

3.ストーマ周囲の洗浄・入浴

ストーマの周囲には、排泄物や汗などの汚れが付着します。そのまま放置すると皮膚トラブルにつながる恐れがあるため、装具交換時や入浴時などにやさしく洗い、清潔な状態を保つことも大切です。

ストーマ装具は耐水仕様なので、装具をつけたまま湯船につかったり、シャワーを浴びたりすることもできます。ストーマは内側から外側に向かって圧力がかかっており、水が入ることはないため、自宅のお風呂であれば装具を外して入浴しても問題ありません。 ただし、温泉や銭湯といった他の方も利用する公衆浴場では、必ず装具を装着した状態で入浴するのがルールです。

ストーマ装具の交換と入浴するタイミングを合わせれば、ストーマ周囲の皮膚のケアも同時に行うことができます。

4.におい対策

ストーマ袋にたまった排泄物を捨てる時に、排泄物が袋の表面や排出口付近に付着したままだと、においが発生する原因になります。排泄物を処理した後は、トイレットペーパーで排出口付近をしっかりと拭き取りましょう。
フィルターつきのストーマ袋や消臭剤、消臭効果のあるパウチカバーなどを活用するのもおすすめです。

排泄物やガス(おなら)のにおいは、食事の内容に左右されます。気になる方は、においの原因となりやすい食べ物を控える、においを軽減する効果が期待できる食材を積極的に取り入れるといった対策を行うと良いでしょう。

ストーマケアで注意したいポイント

ストーマケアで注意したいポイント

日々のストーマケアは、適切な方法で行うことが大切です。誤った方法でケアした結果、出血やかぶれなどの皮膚トラブルにつながる可能性もあります。
ストーマケアを行う時は、以下の点に注意しましょう。

1. 面板の穴の大きさ

ストーマ装具は、排泄物をためるストーマ袋(パウチ)と体に密着させる面板の2つからできています。
面板の中央部にあいているストーマ孔の大きさは、自身のストーマのサイズに合わせることが大切です。面板の穴あけが小さいと、切り口がストーマに当たって出血することがあります。
反対に、ストーマ孔が大きすぎると、ストーマ周囲の皮膚を排泄物から守ることができません。

目安としては、ストーマ基部よりも1~2mm程度大きめに穴をカットすると良いでしょう。ストーマがむくんでいる、姿勢によってストーマのサイズが大きく変わるといった時は、適宜サイズの調整を行う必要があります。

また、ストーマ装具交換時に傷ついてしまっても、ティッシュに少し血がつく程度の出血なら大きな問題はありません。
出血がとまらずストーマ袋に血がたまっている、尿が赤くなるなどの事態に陥った際は、早急に医師に相談してください。

2.ストーマ装具の交換時期

ストーマ装具を交換する時期にも注意が必要です。ストーマ装具は、貼り続けると面板の皮膚保護剤が溶けたり、ふやけたりします。
皮膚保護剤が溶けすぎる、またはふやけすぎると、排泄物が皮膚に直接接触するなどのトラブルが発生し、皮膚障害を引き起こす恐れがあります。

ストーマ装具メーカーのパンフレットに交換日数の目安が案内されているので、その期間を目安に、適切なタイミングで交換を行いましょう。
具体的な日数はストーマ装具によって異なりますが、面板の溶けた・ふやけた部分が5mm~1cm程度の大きさになる時期が、交換するタイミングの目安です。

面板が1cm以上溶けたり、ふやけたりしている時は、次の交換を1日ほど早めて様子を見ることをおすすめします。
また、面板の溶け方やふやけ方は、汗をかく量にも左右されます。夏場でたくさん汗をかいた時は普段よりも1日早く交換する、汗をかかなかった時は交換するタイミングを1日遅らせてみるなど、状況に応じて調整することもポイントです。

3.ストーマ装具の剥がし方

ストーマ装具を交換する時に、面板を勢いよく剥がすと、皮膚に刺激を与えたり、傷つけたりする原因になります。無理やり剥がそうとするのは避け、専用の剥離剤(リムーバー)を使用して優しく剥がすことを心がけましょう。

面板を剥がした時に、保護テープや皮膚保護剤を貼った部分がかぶれている場合は、使用している面板が皮膚に合っていない可能性があります。医師や看護師に相談したうえで、自分の肌に合うストーマ装具を選ぶことも大切です。

4.皮膚の洗い方

ストーマやストーマ周囲の皮膚にトラブルが起こると、痛みやかゆみなどの症状に悩まされるだけでなく、ストーマ装具の装着が難しくなることも考えられます。トラブルを防ぐためには、皮膚洗浄剤や石けんなどを使ってストーマ周囲の皮膚を清潔に保つことも重要です。

力を込めて皮膚をゴシゴシとこするのではなく、泡でなでるように洗うのがポイントです。洗い終わったらしっかりとお湯で流すか、濡らしたガーゼで丁寧に皮膚を押さえて洗浄剤を拭き取ります。洗浄剤が肌に残っていると、トラブルの原因になるため注意が必要です。

適切な方法でケアすることが大切

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ストーマ周囲のかぶれやかゆみ、痛みなどの皮膚トラブルを防ぐには、日々のストーマケアで清潔な状態を保つ必要があります。排泄物は定期的に捨てる、ストーマ装具を適切なタイミングで交換する、周囲の皮膚を優しく洗うなど、日々のストーマケアは適切な方法で行いましょう。

また、オストメイトではなく、家族の方がケアを行うことも考えられます。ご紹介したストーマケアの方法を、ぜひお役立てください。