ストーマ装具の交換方法。知っておきたいセルフケアのコツ

ストーマ装具の交換方法。知っておきたいセルフケアのコツ

ストーマを造設したオストメイトの方は、お腹にストーマ装具を貼り付け、排泄物をストーマ袋で受け止めることで日常生活を送っています。 ストーマ装具は貼り続けると劣化していくため、剥がれやにおい、排泄物の漏れなどを防ぐには定期的な交換が欠かせません。 オストメイトの方本人はもちろん、介護をしている方も、ストーマ装具の交換手順やコツを覚えておく必要があります。
ここでは、ストーマ装具の交換方法を、手順に沿ってご紹介します。

ストーマ装具の交換頻度はどれくらい?

ストーマ装具の交換頻度はどれくらい?

ストーマ装具には、各メーカーが設定した装着期間の目安が存在します。パンフレットなどに「1~5日」「2~3日」などと記載されているので、参考にしてみましょう。 ただし、発汗量や排泄物の性状、ストーマ周囲の皮膚の状態などによって、具体的な交換時期は変わる点に注意が必要です。

皮膚保護剤を使用している面板は、排泄物を吸収するとふやけたり、溶けたりするようにできています。 ストーマ装具を交換する際は、剥がした面板を裏返して「皮膚保護剤がどれくらいふやけたり、溶けたりしているか」「排泄物の漏れはないか」を観察してみると、交換頻度の目安を知ることが可能です。

例えば、交換時に普段よりも多く皮膚保護剤がふやけている・溶けているといった時は、普段よりも1日早めに交換すると良いでしょう。

ストーマ装具の交換方法

ストーマ装具の交換方法

ストーマ装具を交換するタイミングや頻度だけでなく、交換する際の手順やポイントを覚えておくことも大切です。
実際にストーマ装具を交換する方法を、手順ごとにご紹介します。

1. 交換に必要なものを用意する

ストーマ装具を交換する際は、事前に必要なものを用意しておくと、慌てずに作業を行えます。一般的には、装具の交換には以下のものが必要です。

剥離剤(リムーバー)、石けんまたは洗浄剤、ガーゼ、ロールガーゼ(尿路ストーマの場合)、ティッシュペーパー、新しいストーマ装具、ゴミ袋、ぬるま湯(洗面器)、ストーマのサイズを測定するノギスやゲージ

フリーカットの面板を使っている方は、穴をあけるためのはさみや、ストーマの大きさを記録する油性ペンなども忘れずに用意しておきましょう。
また、ストーマ装具用のアクセサリーを使用している方は、アクセサリー類を用意しておくことも大切です。

2.貼っている装具を剥がす

必要なものを全て用意したら、貼っているストーマ装具を剥がしていきます。ストーマ袋(パウチ)の中にたまった排泄物は、事前に空にしておきましょう。

面板は、片手で面板近くの皮膚を押さえながら、上から下にゆっくりと優しく剥がしていくのがポイントです。勢いよく剥がそうとすると、皮膚を傷つける恐れがあります。 面板が剥がれにくい時は無理やり剥がそうとするのではなく、剥離剤(リムーバー)を使用するのがおすすめです。

3.ストーマの周りを洗う

面板を剥がせたら、ストーマの周囲に付着している排泄物をティッシュペーパーなどで拭き取りましょう。
その後、石けんとぬるま湯を染み込ませたガーゼか洗浄剤を使って、ストーマの周囲を優しく洗います。

消化管ストーマ(コロストミー/イレオストミー)の方はストーマ周囲の便が広がらないように外側から内側に、尿路ストーマ(ウロストミー)の方は尿路感染を防ぐために内側から外側に洗浄するのがポイントです。
尿路ストーマは常に尿が出続けている状態なので、ロールガーゼなどで押さえておくと、作業を行いやすくなります。

また、皮膚に石けんの成分や水分が残っていると、面板がつきにくくなります。剥がれの原因になるため、洗い終わったら石けんをしっかり流すことと、十分に乾燥させることも心がけましょう。
粘膜を傷つける恐れがあるので、ストーマ周囲を乾かす時にドライヤーなどを使うのは厳禁です。

4.ストーマの大きさを測る

面板の穴の大きさを合わせるために、ストーマの大きさ(縦・横・高さ)を測ることも大切です。高さは、お腹から排泄口までの高さを測ります。

ストーマのサイズを測ったらカッティングゲージに印をつけて、ストーマと同じ大きさの穴をあけておきます。印をつけたカッティングゲージを型紙として残しておけば、毎回大きさを測る必要がないので便利です。

ただし、ストーマのサイズは常に同じではありません。1カ月に1回程度は計測をやり直し、正しいストーマの大きさを知っておくことが大切です。

5.新しい面板をカットする(フリーカットの場合)

フリーカットの面板を使用している時は、はさみなどで穴をカットする必要があります。
穴をあけたカッティングゲージを面板の剥離フィルム側に合わせて、新しい面板に穴の大きさを書き写しましょう。

書き写したままのサイズで切るとストーマが傷つく恐れがあるため、線よりも1~2mm程度大きめに面板をカットするのがコツです。面板の切り口は指などでこすって滑らかにしておくと、ストーマが傷つくのを防げます。

また、単品系のストーマ装具は、事前にストーマ袋を少し膨らませておきましょう。誤って袋を切ってしまう事態を予防できます。

6.ストーマ装具を貼り付ける

皮膚がしっかりと乾いていることを確認したら、面板の剥離紙を剥がしてストーマ装具を貼り付けます。剥離紙を剥がす前に面板をストーマに当てて、穴の大きさが適切か確かめておくと安心です。
また、下部開放型のストーマ袋の場合は、装着前に排出口が閉じているかどうかも忘れずに確認しましょう。

単品系装具はストーマが見えにくく、貼り付けるのが難しいことも考えられます。面板部分を折り曲げて、ストーマが見える状態で作業を行うのもおすすめです。
この時、粘着力が落ちる原因になるため、粘着面にはできるだけ触れないようにしてください。温まると密着力が強くなるので、装具装着後は、面板部分を手で押さえて温めておくのも有効です。

装具交換時のコツ

装具交換時のコツ

ストーマ装具を交換する時は、場所やタイミングなども意識する必要があります。

場所に関しては、自分の部屋や浴室、トイレなど、どこでも問題ありません。交換中はお腹を出し続けることになるため、体が冷えにくい場所を選ぶと安心です。
気温が低い時期は、暖房器具を使ってお部屋を暖めておきましょう。
自分でストーマ装具を交換する時は、腰かけた状態か立った状態で行うと、ストーマの様子を確認しやすくなります。

タイミングは、排便や排泄が少ない起床直後や食前などがベストです。面板の粘着力が上がっている可能性があるため、入浴直後の交換は避けることをおすすめします。

また、尿路ストーマの方は常に尿が出続けています。作業に慣れてきたら、装具を剥がす前に面板に穴をあけておくとスムーズです。

使い終わったストーマ装具はどこに捨てる?

使い終わったストーマ装具はどこに捨てる?

使用済みのストーマはビニール扱いで廃棄することになります。燃えないごみ(不燃ごみ)として捨てることが多いものの、具体的な捨て方は自治体によって異なるため、事前にお住まいの市区町村での扱いを確認しておきましょう。

また、ストーマ袋内に排泄物が残ったまま捨てるのは厳禁です。必ず、排泄物はトイレに流してから廃棄してください。

装具交換の手順に慣れておこう

装具交換の手順に慣れておこう

オストメイトの方は、ストーマ装具を定期的に行うことになります。はじめは大変かもしれませんが、慣れると交換にかかる時間は短縮できます。ご紹介した手順やコツを、装具交換にお役立てください。

ただし、今回ご紹介した内容は一例です。交換方法や使用するものが異なる可能性がある点にはご留意ください。