ストーマ袋(パウチ)の種類と特徴。生活様式に合ったものを用意しよう

ストーマ袋(パウチ)の種類と特徴。生活様式に合ったものを用意しよう

ストーマ(人工肛門・人工膀胱)の造設後は、ストーマの種類に応じて適切な装具を使用する必要があります。排泄物をためる「ストーマ袋(パウチ)」にはさまざまな種類があり、生活様式やストーマの造設位置に応じて選ぶことが可能です。
日常生活を快適に過ごすには、ストーマの種類などに合わせて、適切なストーマ袋を選ぶ必要があります。
ここでは、ストーマ袋の種類ごとの特徴や、排泄物の排出方法についてご紹介します。

ストーマ袋(パウチ)の種類

ストーマ袋(パウチ)の種類

ストーマから出る排泄物は、消化管ストーマ(コロストミー/イレオストミー)なら便、尿路ストーマ(ウロストミー)なら尿です。消化管ストーマの場合は、ストーマを造設する位置によって水様や軟便、固形など、便の性状も異なります。

それらの違いに合わせて、ストーマ袋(パウチ)にも複数の種類があり、便の性状や排出方法から選ぶことが可能です。その他にも、袋の色やフィルターの有無といった違いもあります。
ストーマ袋の代表的な種類や特徴は、以下のとおりです。

1. 下部開放型(消化管ストーマ用)

ストーマ袋の下側に、便を捨てるための排出口があるタイプです。排出口のとめ方は、クリップでとめる「クリップ式」や、巻き上げるようにしてとめる「巻き上げ式」「ワイヤー式」といった種類から選ぶことができます。

また、水様性の便が排出しやすい、キャップ式のストーマ袋を選ぶことも可能です。便の残りかすなどを揉み出せるように、キャップが柔らかい構造になっているものが多くみられます。

下部開放型のストーマ袋は開閉が簡単に行えるので、便が頻繁に排泄されて、袋を1日に何回か空にしなければいけない時に適しています。

2.閉鎖型(消化管ストーマ用)

ストーマ袋に排出口がなく、便を排出せずにためることになるタイプが閉鎖型です。便が一定量たまったら、便の処理と同時にストーマ袋の処理も行い、新しいものに交換する必要があります。

1日1回程度袋を空にする必要があるコロストミーの方が使用するのが一般的です。

3.尿路ストーマ(ウロストミー)用

尿路ストーマ(ウロストミー)用のストーマ袋は、排出口に回転式のストッパーがついているタイプと、キャップで排出口を開閉するタイプの2種類に大きく分けられます。
ストーマ袋内にたまった尿が、ストーマ側に逆流することのないように、逆流防止弁を搭載しているのが特徴です。

また、付属の接続チューブ(接続管)を排出口に取り付けることで、採尿バッグやレッグバッグといった蓄尿袋とストーマ袋を接続できます。外出先や就寝時など、長時間トイレに行ってストーマ袋内の尿を処理することができない時に便利です。
接続チューブはメーカーごとに種類が異なるため、使用の前に確認しておきましょう。

4.ストーマ袋(パウチ)の色の種類

透明なものや半透明なもの、肌色のものなど、ストーマ袋の色も商品によって異なります。
透明なものは、ストーマや排泄物の性状を確認しやすいのがメリットです。基本的には、ストーマの状態を観察しやすい透明なものを選ぶと良いでしょう。

一方で、肌色のものは装具が目立ちにくく、ストーマや排泄物が見えにくいというメリットあります。ストーマ袋の内部を見たくない方は、肌色のものや不透明のストーマ袋を用意するのがおすすめです。

5.機能による違いも

消化管ストーマ用のストーマ袋には、ガス抜きのための脱臭フィルターがついているものもあります。一部の製品や、尿路ストーマ用のストーマ袋にはフィルターはついていません。

フィルターの形状や消臭性能、防水性などはメーカーごとに異なります。例えば、入浴時にフィルターにシールを貼る必要があるものや、シールを貼らなくても入浴できるものなど、製品ごとに機能性はさまざまです。

また、ストーマ袋と面板(粘着面)の形状から種類を分けることもできます。
ストーマ袋と面板が一体になっているものは単品系(ワンピース)装具、別々になっているものは二品系(ツーピース)装具と呼ばれ、それぞれメリット・デメリットが異なります。
装着時の違和感を抑えたい方はワンピース装具を、目的に応じて種類を変えたい方はツーピース装具を選ぶなど、シーンに適した装具を用意することが大切です。

排泄物の排出方法

排泄物の排出方法

ストーマ袋にたまった排泄物は、定期的に処理を行いましょう。排泄物をためすぎるとストーマ装具に負担がかかり、面板が剥がれたり、排泄物が漏れたりする原因になるため注意が必要です。
ここからは、排泄物の一般的な排出方法を、便と尿の2パターンに分けてご紹介します。

1. 便の排出方法

消化管ストーマの方は、以下の方法でストーマ袋内の便を捨てるようにします。

【便の排出方法】
1.便がストーマ袋にたまったら、キャップやクリップ、ワイヤーなどの閉鎖具を外す
2.排出口を下に向けて、ストーマ袋内の便を排出する
3.トイレに便を出し終えたら、排出口に残った排泄物をふき取る
4.排出口を閉じたら完了

排出口の開け方や閉じ方は、ストーマ袋の種類によって異なります。事前に使い方を確認しておきましょう。
排出口付近に便が残っていたり、袋の外側に便が付着したりすると、便漏れやにおい漏れの原因になります。排泄物を処理した後は、トイレットペーパーなどで確実に排出口をふき取ることが大切です。
この時、ストーマ袋の中まで丁寧にふき取る必要はありません。

また、ストーマ袋は基本的に使い捨てです。袋を洗って再利用すると、便やにおいが漏れる原因になるため、何度も繰り返して使うのは避けましょう。
使い終わったストーマ袋は、ストーマ袋廃棄用の専用ごみ袋に入れるか、新聞紙に包んでからごみ袋に入れて廃棄してください。

ストーマ装具は燃えないごみ(不燃ごみ)として捨てることが多いですが、地域によって異なる可能性もあります。詳細は、各自治体にお問い合わせください。

2.尿の排出方法

便と同じく、尿をためすぎると装具に負担がかかります。剥がれや尿漏れの原因になったり、漏れによって皮膚がかぶれたりする恐れがあるため、定期的に捨てるようにしましょう。
尿の量には個人差がありますが、3時間ほどを目安に排出するのがおすすめです。

【キャップ式の場合】
1.排出口を上に向けた状態でキャップを外す
2.キャップをつまみながら排出口を下に向けて、尿を排出する
3.ティッシュペーパーで排出口をふき取ったら、キャップをつける

【回転式の場合】
1.キャップを外した後にタップを回す
2.尿がキャップにかからないように排出する
3.排出が終わったら、タップを元に戻してからキャップをつける

【尿が排出口に付着したままだと、においの原因になることがあります。排出後はきれいにふき取るようにしましょう。 においがどうしても気になる時は、入浴時に石けんとお湯できれいに洗い流す方法も有効です。

用途に合ったストーマ袋(パウチ)を選ぶことが大切

用途に合ったストーマ袋(パウチ)を選ぶことが大切

排泄物を受け止めるストーマ袋は、さまざまな種類があります。 水様性の便の方はキャップ式のストーマ袋、便の排泄量が少ない方は閉鎖型のストーマ袋など、排泄物の性状や排出方法から、自分に適したものを選ぶことが大切です。

また、ストーマ袋ごとにたまった排泄物の排出方法は異なります。剥がれや漏れ、においといったトラブルを防ぐために、正しい方法で処理することも心がけましょう。