用意する前に知っておきたいストーマ装具の種類と特徴

用意する前に知っておきたいストーマ装具の種類と特徴

オストメイトの方が快適に日常生活を送るには、ストーマの状態や生活習慣などに合わせて、適切なストーマ装具を選ぶことが大切です。
しかし、ストーマ装具には多くの種類があり、それぞれ特徴が異なります。どれを選べば良いのか悩んでしまうこともあるでしょう。
ここでは、ストーマ装具を用意するうえで知っておきたい、装具の主な種類や特徴などをご紹介します。

ストーマ装具とは

ストーマ装具とは

ストーマ装具とは、ストーマから排出された便や尿といった排泄物、または分泌物をためておく専用の装具のことです。ストーマ袋(パウチ)と面板の2つから構成されています。
それぞれの役割は、以下のとおりです。

【ストーマ袋(パウチ)】
排泄物をためる役割を持っています。透明なものや肌色のものなど、袋によって見た目や機能はさまざまです。
消化管ストーマ(コロストミー/イレオストミー)用と、尿路ストーマ(ウロストミー)用の2種類に大きく分けられます。

【面板】
排泄物の刺激から皮膚を守る「皮膚保護剤」や粘着テープを板状にしたのが面板です。ストーマ袋を肌に密着させる役割も持ちます。

ストーマ装具の種類

ストーマ装具の種類

ストーマ装具は、構造から大きく単品系装具(ワンピース装具)と二品系装具(ツーピース装具)に分けられます。それぞれ特徴が異なるので、違いを知っておきましょう。

1. 単品系装具(ワンピース装具)

単品系装具は、ストーマ袋と面板が一体になっています。ストーマ装具が衣類の上から目立ちにくいので、体の線にフィットする洋服を着る際などに役立ちます。ストーマ袋が面板から外れることもありません。
装着の手間が少なく装着しやすい点や、装着時の違和感を覚えにくい点もメリットです。

一方で、面板の穴をカットする際にストーマ袋も切ってしまう恐れがある、ストーマ袋だけ交換することができないなどのデメリットもあります。

2.二品系装具(ツーピース装具)

単品系とは異なり、ストーマ袋と面板が別々に分かれているのが二品系装具です。肌に面板を貼ってから、ストーマ袋を取り付けて装着します。
面板とストーマ袋の取り付け方は、リングをはめ合わせる「はめ合わせ式」と、テープで粘着させる「粘着式」の2種類です。

二品系装具のメリットは、面板をつけたままストーマ袋だけ交換できる点です。目的や場面に応じて、さまざまなストーマ袋を使い分けられます。
また、装着する時にストーマの状態を確認できるのもメリットです。
専用の入浴用キャップを取り付けられるので、ストーマを気にせずに入浴することもできます。

単品系装具に比べると厚みがある点や、はめ合わせ方が悪いと面板とストーマ袋が外れてしまう恐れがある点には注意が必要です。

面板の種類

面板は、皮膚に粘着して排泄物が皮膚に触れないようにする、汗を吸収する、細菌の繁殖を抑えるなど、多くの役割を持つパーツです。形状や穴あけの方法から、面板も複数の種類に分けることができます。
一般的な面板の種類と、それぞれの特徴は、以下のとおりです。

1. 形状の違い

面板の形状には、粘着面が平らな平面型と、粘着面に凸型のインサートが内蔵された凸面型の2種類があります。

平面型は、ストーマに高さがあり、ストーマ周囲に皺やくぼみがない腹壁への装着に最適です。

凸型の面板は、インサートが硬いものと柔らかいものにさらに分けられます。硬い凸面の面板は、ストーマに高さがない場合におすすめです。
柔らかい凸面の面板は、ストーマの周囲を優しく押さえたい方や、ストーマ装着時の違和感を軽減したい方に適しています。硬い凸面の面板よりも肌に密着しやすいのもメリットです。

2.穴あけの種類による違い

面板の中央部には、ストーマ孔と呼ばれる穴があいています。穴のあけ方も、「自由開孔(フリーカット/カスタムカット)」「既成孔(プレカット)」「自在孔」の3種類に分けられます。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。

【自由開孔(フリーカット/カスタムカット)】
ストーマの大きさに合わせて、面板をはさみでカットして穴をつくります。手間はかかりますが、自由に穴の大きさを決められるのがメリットです。

【既成孔(プレカット)】
数ミリ刻みで、あらかじめ決められたサイズの穴があけられているタイプです。自由開孔タイプの面板と異なり、はさみでカットして穴をつくる必要がありません。
ストーマを傷つける恐れがあるので、少し大きめのサイズを選ぶのがポイントです。

【自在孔】
ストーマのサイズや形に合わせて、指で穴を伸ばし広げるタイプです。既成孔タイプと同様に、はさみでカットせずに使えます。
円形ではない穴を成形する用途にも適しています。

3.構造の違い

皮膚保護剤が全面に使われているものや、皮膚保護剤の周囲に粘着テープがついているもの、粘着剤だけが使用されているものなど、構造も面板ごとにさまざまです。

皮膚保護剤は、装具を肌に密着させるだけでなく、便や粘液を吸収して皮膚を保護する役割も担っています。
また、皮膚保護剤にはいくつか種類があり、作用や装具の交換日数は異なります。

ストーマ袋(パウチ)の種類

ストーマ袋(パウチ)の種類

排泄物をためる役割を担うストーマ袋も、袋の下側から便や尿を排出できる下部開放型や、排出口がない閉鎖型など、さまざまな種類から選ぶことができます。
尿路ストーマ(ウロストミー)用のストーマ袋には尿の逆流を防ぐための逆流防止弁、消化管ストーマのストーマ袋の一部にはガス抜き用のフィルターなど、ストーマごとに機能性を備えているのも特徴です。

また、袋の色も、ストーマの状況を確認しやすい透明なもの、目立ちにくい肌色のものなど、用途に応じて使い分けることが可能です。
ストーマ袋の種類や特徴については、以下の記事も併せてご確認ください。

ストーマ装具以外のアクセサリー

ストーマのケアを助けるアクセサリーも豊富です。ストーマ装具に加えて、ストーマケアに役立つアクセサリーも確認しておきましょう。

【皮膚保護剤】
装具の密着性を高めるなどの目的で使用します。ウエハー・パテ・ペースト・パウダーなどの種類があり、皮膚の状態に応じた使い分けが可能です。

【剥離剤(リムーバー)】
ストーマ装具を交換する際に、面板を剥がれやすくするために使用します。肌にかかる負担や刺激を抑えることが可能です。

【補助ベルト】
装具を固定し、ずれや剥がれといったトラブルを防ぐために使用します。

【消臭用品】
排泄物のにおいを軽減するためのアイテムです。ストーマ袋内に入れたり、排泄物の処理後に空気中に噴射したりと、使い方は商品によって異なります。
排泄物の滑りを良くする潤滑作用を備えたタイプもあります。

【蓄尿袋】
    就寝時や外出時など、長時間トイレに行くのが難しいシーンで、尿をためておくために使用します。採尿バッグやレッグバッグなどが一例です。

自分に適したストーマ装具を選ぼう

自分に適したストーマ装具を選ぼう

ストーマの状態や造設する場所は、人によって異なるものです。多様な状態に対応するために、ストーマ装具も多くの種類が存在します。
日常生活を快適に過ごすには、ストーマの状態や生活習慣に合わせて、自分に適したストーマ装具を用意することが大切です。

ご紹介したストーマ装具の種類や特徴を、ストーマ装具選びにお役立てください。