入浴しても大丈夫? ストーマ造設後のお風呂の注意点

入浴しても大丈夫? ストーマ造設後のお風呂の注意点

ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を増設した直後のオストメイトの方は、今までとは異なる状態で生活を送ることになります。日常生活のさまざまな面で、不安や悩みを抱えてしまうものです。
その中でも、オストメイトの方が特に気になるのが「今までのように入浴できるのか」ではないでしょうか。
ここでは、オストメイトの入浴に関する基本的なポイントや、注意したい点をご紹介します。

ストーマ造設後の入浴はどうすれば良い?

ストーマ造設後の入浴はどうすれば良い?

ストーマを造設した後も、湯船につかったり、シャワーを浴びたりすることができます。自宅のお風呂はもちろん、銭湯や温泉などの公衆浴場での入浴も問題ありません。

   入浴することによって、ストーマ周囲の皮膚を清潔に保てます。皮膚トラブルを防ぐ観点からも、今までどおりにお風呂に入るのがおすすめです。
    また、暖かい湯船につかることで心身をリラックスさせる効果も期待できます。お湯の温度が高すぎるとストーマに刺激を与える恐れがあるため、温度は40℃ほどに設定しておきましょう。

入浴時間に関しては、排泄物が少ない食前が良いとされています。食後に入浴したい方は、十分に時間を置いてから入浴するのがポイントです。

自宅で入浴する方法

自宅で入浴する方法

自宅のお風呂なら、ストーマ装具をつけたままでも、外した状態でも入浴することができます。公衆浴場と異なり周囲の目が気にならないので、リラックスしやすいのがメリットです。
自宅で入浴する際のポイントをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 装具をつけたまま入浴する

ストーマ装具をつけたまま入浴する時は、あらかじめストーマ袋内にたまった排泄物を処理しておきましょう。ストーマ袋が浮くのを防ぐために、中にたまった空気はできるだけ抜いておくと快適です。

消化管ストーマ(コロストミー/イレオストミー)でガス抜きフィルターを搭載したストーマ装具を使っている方は、装具に付属しているフィルターシールを貼ってから入浴することもポイントです。シールを貼らずに入浴すると、フィルターに水が付着して機能が落ちる恐れがあります。
ただし、防水性を備えたフィルターを搭載しているストーマ装具の場合は、そのまま入浴して問題ありません。

また、ストーマ装具は折りたたんでテープなどで固定しておくと、入浴の時に邪魔になりにくくなります。皮膚保護剤が溶けたり、剥がれたりする恐れがある時は、入浴シートと呼ばれるアクセサリーを活用するのもおすすめです。

2.装具をつけないで入浴する

排便の状況次第では、ストーマ装具を外した状態で入浴することも可能です。「お湯が入ってしまうのでは」と不安になるかもしれませんが、腹腔内圧(お腹の中の空気圧)は湯船の水圧よりも圧力が高いため、お湯が入り込むことはありません。

入浴は、ストーマ周囲の皮膚を洗って清潔さを保ったり、外気に触れさせたりする数少ないタイミングです。装具交換を行う日は、積極的に装具を外した状態で入浴することをおすすめします。

ただし、ストーマには排泄物をためたり、我慢したりする働きはありません。できるだけ排泄が少ないタイミングを狙って入浴すると良いでしょう。
入浴中に排泄する可能性があるため、ビニール袋やガーゼなどを近くに置いておくと安心です。

また、尿路ストーマは常に尿が出続けた状態になります。円形の容器を当てて粘液や尿がお湯に混じるのを防ぐか、気になる方はストーマ装具をつけたまま入浴しましょう。
ストーマにカテーテルを挿入している方は、感染症を防ぐために、必ずストーマ装具をつけたまま入浴してください。

公衆浴場で入浴する時のポイント

ガスがたまるのを防ぐ方法

ストーマを造設した後も、銭湯や温泉といった公衆浴場を利用できます。
とはいえ、公衆浴場は多くの人が利用する場所です。他人の目があるため、自宅と同じように入浴することはできません。公衆浴場では、ストーマの種類に関わらず、ストーマ装具を装着したまま入浴するのが基本です。

【脱衣所でのポイント】
脱衣所や浴室では、できるだけ人目につきにくい場所を利用してください。脱衣場は周囲に人が少ない隅や照明が暗い場所を選びます。入浴用キャップを使ったり、ストーマ袋を折りたたんだりして、目立ちにくくするのも良いでしょう。
ストーマ袋を小さく折りすぎると、排泄物が漏れる、装具が外れるといったトラブルにつながるので、折りたたむ時は注意してください。

【洗い場・湯船でのポイント】
浴室内を移動する時は、タオルやおけで装具を隠します。
洗い場で他人の目が気になる時は、ストーマがお腹の左側にある人は左端、お腹の右側にある人は右端の席を利用するのがおすすめです。
湯船につかる時は人の出入りが少ない場所を選び、ストーマ装具は手で押さえておきます。早朝や深夜など、比較的人が少ない時間帯を狙って入浴するのも有効です。

また、脱衣所や洗い場でストーマ装具を脱着したり、排泄物を処理したりするのは厳禁です。不具合を感じた時は、トイレに移動して処置を行ってください。

入浴後の注意点は?

入浴後の注意点は?

入浴後は、ストーマ装具の水分を乾いたタオルなどでしっかりと拭き取ることが大切です。ストーマ装具が濡れたままだと、服が濡れて不快感を覚えたり、皮膚がかぶれたりする原因になります。

すぐに乾かしたいからと、ドライヤーを使用するのは避けてください。熱によってストーマ装具が溶ける、面板が剥がれて排泄物が漏れるなどのトラブルにつながる恐れがあります。すぐに着替えたい時は、パウチカバーでストーマ装具を覆って水分を取るのも良いでしょう。

また、入浴後にストーマ装具を交換する時は、汗をしっかりと拭き取ることもポイントです。
汗が残ったままストーマ装具を装着すると、皮膚保護剤が汗を吸ってしまいます。面板の劣化が早まったり、皮膚トラブルにつながったりする恐れがあるため注意が必要です。

入浴に便利なアクセサリーを活用するのもおすすめ

入浴に便利なアクセサリーを活用するのもおすすめ

入浴時の不安を拭い切れない方は、アクセサリー類を活用するのもおすすめです。入浴時に役立つアクセサリーとしては、サージカルテープや入浴シート、入浴用キャップなどが挙げられます。

【サージカルテープ】
透湿性や防水性を備えたテープです。面板の皮膚保護剤がお湯で溶けたり、ふやけたりするのを防ぎます。

【入浴シート】
入浴シートを貼れば、ストーマ装具が濡れるのを防ぐことが可能です。折りたたんだストーマ装具の上からシートを貼ることで、装具を目立たなくすることもできます。

【入浴用キャップ】
通常のストーマ装具よりコンパクトなサイズのアクセサリーです。ストーマ装具が目立ちにくくなります。

また、ストーマ袋は肌色でコンパクトなサイズのものを選ぶと目立つのを防げます。
公衆浴場で入浴する方や、入浴中のストーマ装具の剥がれが気になる方などは、アクセサリーを用意してみてはいかがでしょうか。

ストーマ造設後も安心してお風呂を楽しもう

ストーマ造設後も安心してお風呂を楽しもう

ストーマ装具をつけているオストメイトの方も、ストーマ造設前と変わらずに入浴を楽しめます。ストーマの状態にもよりますが、湯船のお湯が腸内に逆流することはないので、自宅のお風呂ならストーマ装具を外したまま入浴しても問題ありません。

ただし、温泉や銭湯といった他人の目がある公共の場では、事前の準備やマナーを徹底することが大切です。
ご紹介した内容を参考に、オストメイトの方も安心してお風呂を楽しんでください。