ストーマ袋(パウチ)から排泄物が漏れる原因は?対処法を知ってトラブルを防ごう

ストーマ袋(パウチ)から排泄物が漏れる原因は?対処法を知ってトラブルを防ごう

オストメイトの方が悩みやすいトラブルのひとつに、排泄物の漏れが挙げられます。漏れはストーマ装具の性能とは無関係に発生する可能性があるため、ストーマ装具を正しく装着していても100%防ぐことはできません。排泄物の漏れを防ぐには、どうすれば良いのでしょうか。
ここでは、ストーマ袋(パウチ)から排泄物が漏れる主な原因と対処法をご紹介します。トラブルの防止に、ぜひお役立てください。

ストーマ袋(パウチ)から漏れが起きる原因

ストーマ袋(パウチ)から漏れが起きる原因

ストーマ袋(パウチ)から排泄物が漏れてしまう原因は、ストーマ周囲の皮膚の状況、ストーマのサイズ、排泄物の性状の3パターンに大別できます。
一般的にみられる漏れの主な原因は、以下のとおりです。

1.皮膚の皺やくぼみ

ストーマ装具を貼りつける腹部の皮膚に皺やくぼみがあると、その部分に排泄物がもぐりこんでしまいます。皺が面板を貼っている部分の外側にまで続いていると、皺をつたって排泄物が漏れ出てしまうのです。
体形の変化によって、今まで使っていたストーマ装具が合わなくなることで漏れが発生するケースもあります。

また、面板の皮膚保護剤が排泄物によって溶けたり、膨らんだりした結果、面板の粘着力が落ちるのも、漏れが発生する原因のひとつです。
入浴やストーマ周囲の皮膚の洗浄後、皮膚の表面に水分が残ったまま面板を貼りつけてしまい、皮膚と面板が密着していない時も漏れが発生する可能性があります。

2.面板の穴とストーマサイズの不一致

面板にあけた穴とストーマのサイズの不一致も、漏れが発生する原因です。穴がストーマのサイズよりも大きいと、排泄物が皮膚に付着しやすくなります。そこから皮膚の皺やくぼみに排泄物が入り込むことで、漏れが起きるリスクが高まります。

反対に、穴のサイズがストーマよりも小さいと、ストーマを面板の穴に通すことができません。装具内に排泄物が貯められないため、漏れにつながってしまいます。
無理やりストーマを穴に通そうとした結果、ストーマが傷つく恐れもあるため注意が必要です。

また、ストーマが皮膚より低い位置にある「陥没ストーマ」も、排泄物が面板の下に入り込む可能性が高く、漏れが発生しやすい傾向にあります。

3.便の性状の変化

消化管ストーマ(コロストミー/イレオストミー)の方は、便の性状や量が漏れにつながっている可能性があります。
特に、固形の便が水様便になると漏れのリスクが高まります。これは、水様性の便は固形よりも面板の下などの隙間に入り込みやすいこと、面板の溶け・ふやけを促進しやすいことが理由です。

排泄物の漏れを防ぐための方法

排泄物の漏れを防ぐための方法

排泄物の漏れを防ぐには、原因ごとに適切な対策を取ることが大切です。排泄物の漏れが気になる時は、次の対処法を試してみてください。

1. 皺を伸ばす

皮膚の皺やくぼみを伸ばしてからストーマ装具を装着すれば、排泄物が隙間に入り込むのを防げます。座りながらストーマ装具を交換する時は前かがみの姿勢になるため、皺ができやすいので注意が必要です。
どうしても皮膚の皺やくぼみをなくせない時は、パテ(ペースト)やウエハーといったアクセサリーを活用して、皮膚を平らにならすと良いでしょう。

また、タオルなどで皮膚表面の汗をしっかりと拭き取ってから面板を貼る、パウダー(粉状皮膚保護剤)で皮膚表面の水分を吸収するといった方法も有効です。

2.面板の穴をストーマに合わせる

面板の穴を、ストーマのサイズに合わせることもポイントです。穴とストーマの間に1~2mmの隙間ができる程度を目安に、面板をカットしましょう。
基部と排泄口付近でストーマの大きさが異なるなど、ストーマと面板の間にどうしても隙間ができてしまう時は、ストーマ周囲の皮膚に皮膚保護剤を使って隙間を埋めるのが有効です。

3.凸面型のストーマ装具を使用する

ストーマが凹んでいる陥没ストーマの方は、粘着面が出っ張っている凸面型のストーマ装具を使用するのがおすすめです。ストーマ周囲の皮膚に圧をかけることで、ストーマに高さを出せます。
ただし、自己判断でストーマ装具を変更するのは避けましょう。ストーマ装具を変更したい時はストーマ外来で相談を行ってください。

4.凝固剤を使用する

便の性状が固形から水様性に変化したことで漏れが起きている場合は、凝固剤を用意するのがおすすめです。凝固剤をストーマ袋の中に入れることで、水様便をゲル状に固める効果が期待できます。

凝固剤を使うのではなく、ストーマ装具を水様便に適した種類に変更する方法でも対処できます。こちらも、自己判断でストーマ装具を変更するのは避け、ストーマ外来や医師に相談してください。

5.定期的に装具を交換する

面板の劣化によって漏れが引き起こされている可能性もあります。漏れが発生する前にストーマ装具を新しいものに交換することも重要です。

ストーマ装具を交換するタイミングは、使用しているストーマ装具の種類や排泄物の性状、汗の量などによって異なります。メーカーのパンフレットに記載の交換時期を参考に、タイミングを調整してください。
面板が肌になじみにくい時は、手のひらで少し温めておくと密着度が上がります。

また、排泄物を定期的に処理することも大切です。ストーマ袋内に排泄物がたまって重みが増すと、面板が下方向に引っ張られて剥がれやすくなります。
漏れやにおいといったトラブルにつながる恐れがあるため、便・尿を問わず、ストーマ袋内に3分の1ほど排泄物がたまったら、中身を処理することを心がけましょう。

6.体を動かす時はストーマ装具が固定されていることを確認する

ストーマを造設した後も、医師に相談のうえでスポーツを楽しめます。スポーツで体を動かす時は、ストーマ装具を固定すると良いでしょう。専用の下着や補助ベルトなどでストーマ装具を固定することで、面板の剥がれや排泄物の漏れを防ぎやすくなります。
運動を始める前に、ストーマ袋の中身を空にしておくのも有効です。

また、運動で体を動かすとたくさんの汗をかきます。耐久性が高く汗に強い皮膚保護剤を使ったり、運動後に装具を交換したりすることを検討するのもおすすめです。

ストーマ周囲の皮膚のケアも行おう

ストーマ周囲の皮膚のケアも行おう

排泄物がストーマ装具から漏れてしまうと、においの発生につながるだけでなく、ストーマ周囲の皮膚トラブルにつながる可能性もあります。
ストーマ装具を交換するタイミングで皮膚のケアを行い、清潔な状態を保つことも大切です。

ストーマ周囲の皮膚は、基本的にはストーマ装具を交換する時しか直接見たり、触れたりすることができません。装具交換時に異常がないか確認する、洗浄剤でストーマ周囲の皮膚をよく洗うなど、日頃のケアを徹底しましょう。

ストーマ装具を正しく使って漏れを防ごう

ストーマ装具を正しく使って漏れを防ごう

ストーマ装具からの排泄物の漏れは、ストーマ装具の貼り方を工夫したり、アクセサリーを活用したりすることで対処できる可能性があります。漏れが気になる方は、皮膚に皺ができていないか、ストーマのサイズと穴の大きさが合っているかといった点を、今一度確認してみてください。

ただし、ご紹介した原因や解決方法はあくまでも一例で、問題解決には専門知識が必要なことも考えられます。漏れのトラブルが改善しない時は、医師やストーマ外来に相談することをおすすめします。