ストーマパウダーを使う目的は? 正しい使い方を知ってストーマケアに役立てよう

ストーマパウダーを使う目的は? <br>正しい使い方を知ってストーマケアに役立てよう

オストメイトの方が皮膚トラブルを防ぐには、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)や周囲の皮膚をケアする必要があります。ストーマケア用のアクセサリーにはさまざまな種類がありますが、皮膚トラブルの防止に役立つのがストーマパウダー(粉状皮膚保護剤)です。
ただし、使い方を誤るとストーマ装具の密着性の低下や排泄物の漏れといったトラブルにつながりかねません。
ここでは、ストーマパウダーを使用する目的や正しい使い方をご紹介します。

ストーマパウダーを使う目的は?

ストーマパウダーを使う目的は?

ストーマ装具の粘着部分(面板)は、皮膚保護剤と呼ばれる成分でできています。ストーマ装具は、交換するタイミング以外、常に肌に触れ続けるものです。
皮膚保護剤は、汗や排泄物などの水分を吸収し、皮膚の状態を健康に保つ役割を担っています。この皮膚保護剤のおかげで、皮膚に粘着部分(面板)を貼り続けることによる皮膚トラブルの発生を防いでいます。

ストーマパウダー(粉状皮膚保護剤)は、面板にも使われている皮膚保護剤を粉状にしたストーマケア用のアクセサリーです。水分を吸収する性質を持つ「親水性ポリマー」で作られており、汗や排泄物の水分などを吸収するとゲル化する作用を持っているのが特徴です。 ストーマパウダーのゲル化する特性によって、皮膚を保護したり、装具の密着力を高めたりする効果が期待できます。

ストーマパウダーの使い方

ストーマパウダーの使い方

ストーマパウダーの主な使い方は、「面板とストーマの隙間を埋める」「びらん部分に振りかける」という2つに大きく分けられます。
それぞれの概要をご紹介しますので、ストーマパウダーを使用する時の参考にしてみてください。

1. 面板とストーマの隙間に使う

通常、ストーマ装具はストーマのサイズよりも1~2mmほど大きな穴がカットされたものを使用します。
とはいえ、排泄口がストーマの基部よりも大きいなど、ストーマの形状によってはさらに大きな穴をカットしなければいけません。ストーマ周囲の露出した皮膚に排泄物が付着しやすくなり、皮膚トラブルが起こるリスクも高くなります。

そのような際は、ストーマパウダーを活用するのがおすすめです。ストーマパウダーを面板とストーマの隙間に振りかけることで、隙間を埋めて皮膚を保護できます。

2.びらん部分に使う

面板とストーマの隙間埋めだけでなく、びらんの保護にも活用できます。びらんとは、皮膚や粘膜の表皮が欠損した状態のことです。びらんからは滲出液が出ているため、ストーマ装具を貼りつける位置にびらんがあると、装具の粘着力は落ちてしまいます。
結果として、ストーマ装具の剥がれや排泄物の漏れ、皮膚トラブルなどにつながる恐れがあります。

ストーマ付近にびらんができた時も、ストーマパウダーを振りかけるのが有効です。びらん部分の水分をストーマパウダーが吸収してゲル化することで、ストーマ装具の装着力を高めることができます。

ただし、ストーマパウダーは粉状のアクセサリーです。大量に振りかけると、逆にストーマ装具の粘着力が落ちてしまう恐れがあります。びらん部分だけに振りかけることを徹底しましょう。
多めにストーマパウダーを振りかけてしまった時は、余分な粉を落としてからストーマ装具を貼りつけるのがポイントです。

ストーマパウダー以外のストーマ装具のアクセサリー

ストーマパウダー以外のストーマ装具のアクセサリー

ストーマパウダー以外にも、ストーマケアに使えるアクセサリーはさまざまな種類があります。ストーマや周囲の皮膚の状態、抱えている悩みなどに合わせて、適切なアクセサリーを使うことが、ストーマに関連するトラブルを防ぐコツです。
ここからは、ストーマケア用のアクセサリーの例と、それぞれの概要をご紹介します。

1. 皮膚保護剤

ストーマ周囲の皮膚に皺やくぼみがあると、排泄物が隙間にもぐりこんで漏れにつながる恐れがあります。ストーマ周囲に皺がある時は、ペーストやパテ、ウエハーといった皮膚保護剤を活用するのがおすすめです。
皺やくぼみによる皮膚の凹凸を補正することで皮膚表面が平たんになるので、ストーマ装具の密着力が高まったり、排泄物の漏れを防いだりする効果が期待できます。

2.補助ベルト

補助ベルトは、ストーマ装具を固定してずれたり、剥がれたりするのを防ぐためのアイテムです。スポーツや外出時など、体を動かす時に役立ちます。

ベルトではなく、面板の周囲を補強して剥がれを防ぐテープを用意するのも有効です。防水性のテープなら、お風呂やプールなど、体が濡れるシーンでも使用できます。

3.剥離剤(リムーバー)

ストーマ装具を剥がす時に使用するアクセサリーが剥離剤(リムーバー)です。剥離剤を皮膚と面板の隙間に染み込ませることで、面板を剥がす時の負担を軽減できます。
剥離液を直接粘着面に垂らすものや、スプレーで吹きかけるものなど、使い方は商品によってさまざまです。

剥離剤を使わずに無理やりストーマ装具を剥がそうとすると、皮膚トラブルにつながる可能性があります。剥離剤に含まれている成分が肌に合わないなど、特別な事情がある方を除いて、剥離剤を使用するのがおすすめです。

4.消臭用品

ストーマケアの時に気になりやすい、排泄物のにおいをケアするアクセサリーです。消臭作用を持った消臭潤滑剤なら、においを軽減するだけでなく、排泄物の滑りをよくして排出を簡単にすることもできます。
排泄物を処理するたびに、ストーマ装具内に入れ直す必要がある点に注意が必要です。

また、ストーマ装具内に入れるタイプではなく、スプレータイプの消臭用品もあります。
ストーマ装具の交換後など、においが気になる時にスプレーすることでにおいをケアできて便利です。

5.皮膚被膜剤

皮膚表面に薄い膜を作ることで、排泄物や面板を剥がす時の刺激から皮膚を守るのが皮膚被膜剤です。皮膚に直接塗るタイプと、スプレーで吹き付けるタイプに分けられます。

皮膚トラブルを防ぎたい方は、ストーマ装具を貼りつける前に、皮膚被膜剤を使ってみてはいかがでしょうか。面板の剥がれや排泄物の漏れにつながるため、皮膚被膜剤が乾いてからストーマ装具を貼るのがポイントです。

ただし、傷ができている場所に使うことはできません。皮膚に膜を作るという性質上、つっぱり感を覚えることもあります。

6.蓄尿袋

就寝時や外出時など、長時間尿を排出するのが難しい時に使うアクセサリーです。ストーマ袋と蓄尿袋を接続することで、ためられる尿の量を増やせます。

外出中に尿を処理できない時は、足に取り付ける「レッグバッグ」を使うのがおすすめです。尿の重さがストーマ装具にかからないので、面板の剥がれや漏れなどのトラブル予防にも役立ちます。

正しい使い方を心がけてストーマをケアしよう

正しい使い方を心がけてストーマをケアしよう

ストーマパウダーは、ストーマ装具とストーマの隙間を埋めて皮膚を守ったり、装具の密着力を高めたりできる便利なアクセサリーです。絶対に必要なものではありませんが、皮膚がただれやすい方や、ストーマの基部と排泄口でサイズが異なる方などは、用意しておくと役に立ちます。

ただし、使い方を間違えるとかえって面板の密着力が弱まることもあるため注意が必要です。ストーマパウダーは、あくまでも水分を吸収してゲル化するためのアクセサリーです。皮膚が赤くなっているだけの場所に振りかけても意味はありません。
正しい使い方を心がけて、ストーマパウダーを日常のケアにお役立てください。