ストーマ装具のにおいが気になる時の対策方法

ストーマ装具から発生する「におい」に悩んでいるオストメイトの方は多いのではないでしょうか。ストーマ装具は防臭仕様になっているので、基本的には正しい使い方を心がけていれば、袋を開けない限りにおうことはありません。自分が感じるほど、他人はにおいが気になっていない可能性もあります。
とはいえ、できることならにおいに配慮したいものです。
ここでは、ストーマ装具を装着している時に気になる、においを抑える方法についてご紹介します。
目次
対策1. 食生活を改める

日々の食事は、排泄物のにおいに大きな影響を与える要素です。においが気になるオストメイトの方は、食生活を見直してみることをおすすめします。
ストーマの種類ごとに、食生活のポイントをご紹介します。
1. 消化管ストーマの場合
においを発生させやすい食品を避けると、便のにおいを抑えることが可能です。
具体的には、以下のような食品はにおいが強くなるため、においが気になる方は避けることをおすすめします。
【便のにおいが強くなるもの】
卵、魚、甲殻類、にんにく、長ネギ、たまねぎ、ニラ、チーズ、豆類、にんにく など
また、コロストミーやイレオストミーといった消化管ストーマを造設した方は、排泄物のにおいに加えて、ガス(おなら)の発生にも気を配る必要があります。
ガスの主な原因は、食事中に飲み込んでいる空気です。しゃべりながら食事をする、すするように食べる、ストローを使って飲み物を飲むといった行為は控えましょう。
ガスの発生量が気になる方は、ガスを含んでいる炭酸飲料を飲んだり、ラーメンを食べたりするのを控えるのも有効です。食物繊維を多く含む食べ物も、ガスを発生させる原因になります。
【ガスを作りやすい食品や習慣】
炭酸飲料(ビールなど)、イモ類、甲殻類、貝類、豆類、ブロッコリー、キャベツ、ラーメン など
喫煙も、空気を吸い込むことからガスを発生させやすいため注意が必要です。
乳酸菌飲料やパセリ、ヨーグルト、レモンといった食品は、においやガスの発生を防ぐ効果が期待できます。積極的に食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
2.尿路ストーマの場合
尿路ストーマ(ウロストミー)の方は、にんにくやネギ類、アスパラガスといった食品がにおいの原因になりやすいです。
また、尿はアルカリ性に傾くほどにおいが強くなります。尿を酸性にする効果がある、ビタミンCやポリフェノールを含んだ果実または飲み物を摂取するのが、におい対策として有効です。
具体的には、オレンジやグレープフルーツ、クランベリージュース、アセロラジュース、緑茶などは、尿のにおいを抑える効果が期待できます。
1日1,500ml以上を目安に、水分(お茶や水など)を多めに飲むことを心がけるのも、におい対策につながります。ただし、食事や水分制限をされている方は医師の指示を仰いでください。
対策2. ストーマ装具の使い方を見直す

食事を見直してもにおいが気になる時は、ストーマ装具の使い方に問題がある可能性も考えられます。ストーマ装具の使い方を見直すことも大切です。
においが気になる方は、以下の3点を確認してみましょう。
1. ストーマ装具の交換頻度を確認する
ストーマ装具は使い捨ての設計になっています。袋に傷がついたり、排泄物がストーマ袋の表面に付着したりして、においや排泄物の漏れといったトラブルにつながる恐れがあるため、洗ったものを再利用するのは避けてください。
ストーマ装具のパンフレットには、メーカーが推奨する交換頻度の目安が記載されています。使用しているストーマ装具の交換頻度を確認し、定期的に新しい装具に取り換えることが大切です。
ストーマ装具の交換時期は、汗の量や排泄物の性状などによって異なります。交換時に剥がした面板の皮膚保護剤がどれくらいふやけたり、溶けたりしているか、排泄物の漏れがどれくらいかなどを確認してみてください。 普段よりも皮膚保護剤が多くふやけたり、溶けたりしている時は、交換日を1日早めてみることをおすすめします。
2. 排泄物を定期的に捨てる
排泄物がストーマ装具にたまったら、定期的に捨てることも大切です。排泄物をためたままにしておくと重みで面板が剥がれてしまい、においや漏れが発生する原因になります。
適度にストーマ装具を空にしたり、交換したりすれば、排泄物の漏れのリスクを軽減することが可能です。
目安としては、ストーマ袋の3分の1くらいまで排泄物がたまったら、捨てるようにしましょう。
排泄物を捨てた後は、ストーマ装具の排出口をトイレットペーパーなどできれいにふき取ることもポイントです。排出口やストーマ装具の外側に排泄物が付着したままだと、においの原因になってしまいます。
また、ストーマ装具内の排泄物を捨てる時に、においを強く感じることもあるでしょう。
そのような時は、前日に食べたものを振り返ってみると、におい対策に役立てることができます。
3. ストーマ装具を変えてみる
消化管ストーマのストーマ装具には、消臭フィルターが付いているものと、付いていないものがあります。ガスによるにおいや袋の膨張が気になる方は、消臭効果の高いフィルターを備えたストーマ装具を用意するのもおすすめです。
ストーマ装具から発生するにおいを軽減したり、ストーマ装具内にたまったガスを抜いたりする効果が期待できます。消臭フィルターが付いているので、ガスを排出する際ににおいが気になることもありません。
医師に相談したうえで、ストーマ装具の変更を検討してみてはいかがでしょうか。
対策3.アクセサリーを使用する

排泄物のにおいを抑えるアクセサリーを使用するのも有効です。におい対策に使えるアクセサリー類の例としては、以下のものが挙げられます。
【消臭潤滑剤】
ストーマ装具内の排泄物を排出しやすくしたり、排泄物のにおいを抑えたりする、消化管ストーマの方向けのアクセサリーです。装具を交換したり、便を排出したりするタイミングで使用します。
【パウチカバー・腹帯】
ストーマ装具を覆うアクセサリーです。ストーマ装具が衣類とこすれる時の音を抑えたり、汗を吸収したりする役割を持ちます。
消臭機能を備えたパウチカバーや腹帯を使用すれば、におい対策になります。
【消臭スプレー】
排泄物のにおいを消す消臭スプレーもあります。ストーマ袋内に直接吹きかけるか、排泄物を処理した後に空間に吹きかけて消臭します。
【サプリメント】
食後に飲むことで排泄物のにおいを抑える、サプリメントやゼリーを服用するのもおすすめです。形状は商品によって異なるので、使いやすいものを選びましょう。
においが気になる時は食生活の確認を

排泄物のにおいが発生する主な原因は食生活です。排泄物のにおいが気になる方は、普段の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
消化管ストーマの方は、ガスの発生を抑えるために、食べ方にも気を配ると良いでしょう。
また、誤ったストーマ装具の使い方が原因で、におい漏れが発生している可能性もあります。ストーマ装具は再利用しない、排泄物を捨てた後に排出口付近をきれいにふき取るなど、正しい使い方を心がけることも大切です。
それでもにおいが気になる時は、消臭対策になるアクセサリー類を活用するのも良いでしょう。食生活やストーマ装具の使い方を見直して、においに関する悩みを軽減しましょう。