マスクで頭が痛くなる? 「マスク頭痛」の原因と対処法

新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの予防、花粉症対策など、マスクを着用する機会は何かと多いものです。
日常的にマスクを着ける機会が増えてから頭痛が悪化した、頻度が増えたという時は、マスクの着用が原因で引き起こされる「マスク頭痛」の可能性があります。
マスク頭痛はどのように防げば良いのでしょうか。ここでは、誰にでも起こる可能性がある「マスク頭痛」の原因と、簡単に行える対策方法をご紹介します。
目次
「マスク頭痛」が起こる4つの原因

頭痛と一口にいっても、ずきずきと脈打つような痛みを感じる片頭痛や、頭全体が締め付けられたように感じる緊張型頭痛、何らかの病気が原因の二次性頭痛などの種類に分けられます。
頭痛に複数の種類があることからイメージできるように、頭痛が起こる原因もさまざまです。
マスク頭痛の発生を防ぐには、原因を知って対策を取ることが大切です。
1. 酸素不足
マスクを着用している時は、鼻や口の周囲が不織布などで覆われています。花粉などの侵入や飛沫の拡散を防ぐ効果が期待できる反面、マスクを着けていない時に比べると、新鮮な空気を取り込みにくくなってしまいます。
さらに、自分の吐いた息がマスク内にとどまることで、マスク内の二酸化炭素濃度が上昇する点も見逃せません。
二酸化炭素を多く含んだ空気を吸うことになるため、体内が二酸化炭素過多・酸素不足の状態になります。血中酸素濃度が下がり、脳の血管が拡張した結果、頭痛を引き起こしてしまうのです。
空気を遮断する効果が高い高性能なマスクほど、酸素不足が原因の頭痛が起こりやすくなります。
2. マスク内の蒸し暑さ
長時間マスクを着用し続けると、体温や吐いた息などの影響でマスク内の温度が上昇していきます。マスク内が暑くなると、口周りを中心に体温も上がります。 さらに、マスクを着けている時は、息苦しさから深呼吸をすることが多いです。深呼吸によって大きな筋肉を動かすと体が熱を生み出すため、さらに吐く息の温度は上がります。
口元を中心に体温が上がり頭部の血管が拡張した結果、頭痛につながる恐れもあるため注意が必要です。マスクによる刺激や体温の上昇による自律神経の乱れが、頭痛を引き起こすケースも考えられます。
また、マスクの着用中は喉の渇きを感じにくいものです。状況によっては、マスクを脱いだり、着けたりするのがおっくうで、普段より水分補給の頻度が減ることもあるでしょう。
その結果、脱水症状に陥り、熱中症の初期症状として頭痛が起きている場合もあります。
3. ひもによる体への負担
一般的に、マスクを着用している最中は、ひもで両耳が固定されます。耳がひもで引っ張られたり、圧迫されたりすることで筋肉に負担がかかった結果、頭痛が発生するケースもあります。
また、長時間のマスクの着用で首や肩といった部位に負担が生じることも、頭痛が発生する原因のひとつです。
4. ストレス
息苦しい、耳が痛い、蒸し暑い、擦れて肌が荒れた、声が通りにくいなど、マスクを着用している時はさまざまなストレスを感じることもあるはずです。
ストレスも、頭痛が起こる原因になります。
マスク頭痛を防ぐには?

酸素不足や蒸し暑さ、ストレスなど、マスク頭痛の原因はいくつか考えられます。酸素不足が要因のこともあれば、複数の要因が組み合わさっていることもあるでしょう。
マスク頭痛を防いだり、軽減したりするためには、複数の対策を組み合わせることが大切です。
1. 適度にマスクを外す
マスク頭痛の原因は複数考えられるとはいえ、根本的な原因は「長時間マスクを着用すること」です。マスクの着用によって頭痛を感じている方は、適度にマスクを外すことを心がけましょう。
周囲に人がいない時やトイレの個室に入る時など、タイミングを見計らってマスクを外し、呼吸を整えることが大切です。
マスクを外して新鮮な空気を吸うことで、酸素不足を解消できます。口周りの温度が下がるため、マスク内の蒸し暑さを軽減できるのもメリットです。
また、マスクに冷却スプレーを吹きかけたり、エアコンの設定温度をやや低めにしたりして、体温の上昇を防ぐのも、マスク頭痛の対策になります。
2. こまめに水分補給を行う
前述のように、水分不足もマスク頭痛が発生する原因になり得ます。マスクの内部は呼気に含まれる水分の影響で湿度が高いため、普段よりも喉の渇きに気付きにくいものです。
マスクを着用している時は、いつも以上にこまめな水分補給を心がけましょう。こまめな水分補給は、定期的にマスクを外すことにもつながります。
また、空腹状態は頭痛を引き起こす要因になるともいわれています。マスク頭痛が酷い時はジュースを飲んだり、飴を舐めたりして、糖分を摂取するのもおすすめです。
3. 自分に合ったマスクを着用する
着用しているマスクを見直してみるのも有効です。マスクを自分の顔に合ったものに変えることで、体にかかる負担が減って頭痛も和らぐ可能性があります。
マスクのサイズは、鼻からあごまでを覆った時にきつさや緩さを感じない、適切な大きさを選びましょう。肌に刺激を与えにくいものを選ぶことも重要です。
耳の締め付けが気になる時は、ひもの形状や素材を見直してみてください。ひもが柔らかい素材でできているマスクや、太さのあるマスクなら、耳にかかる負担を軽減できます。 ひもの長さを調節できるアジャスター付きのマスクや、耳にかけずにひもを留められるバンドなどを用意するのもおすすめです。
4. マッサージを行う
耳や肩、首などに負担がかかり、体が凝り固まっている時は、マッサージやストレッチ、ツボ押しなどを行うのもおすすめです。マッサージやストレッチによって筋肉をほぐして血流を改善することで、頭痛が和らぐ可能性があります。
ストレッチを行う時は、深く息を吸ったり、吐いたりすることも心がけましょう。酸素不足によるマスク頭痛の予防にもつながります。
5. 頭痛薬を服用する
既にマスク頭痛が起こっている時は、ご紹介した方法だけで対処するのは難しいかもしれません。市販の頭痛薬を適切に服用して、症状の改善を期待するのも対処法のひとつです。
市販の頭痛薬は、商品ごとに配合されている成分や作用が異なります。薬剤師や医師に相談したうえで、個人の体質や頭痛の種類に合った薬を服用しましょう。
また、自己判断で頭痛薬に頼り過ぎるのは控えることもポイントです。頭痛薬を頻繁に飲み続けた結果、かえって痛みを感じやすくなる「薬物乱用頭痛」を招く恐れがあります。
パッケージや説明書に記載された用法・容量を守っても症状が緩和しない、痛みが長期間にわたって続く時などは、すぐに医療機関を受診してください。
マスクの着け方に注意して頭痛を防ごう

新型コロナウイルス感染症の流行以後、マスクを着ける機会は増えつつあります。多くの方が、マスク頭痛を患う可能性があるということです。
マスク頭痛を引き起こす要因は酸素不足や蒸し暑さなど複数考えられますが、根本的な原因は「長時間のマスクの着用」です。
マスク頭痛を防ぐために、適度にマスクを外す、耳を締め付けにくいマスクを着用するなど、マスクの着け方を工夫することをおすすめします。マスクの着用時は脱水症状に陥りやすいので、こまめに水を飲む意識を持つことも有効です。
ただし、何らかの病気が原因で頭痛が起きている恐れもあります。長期間頭痛に悩まされている、痛みが徐々に強くなってくる、普段とは痛みが異なる、頭痛薬が効かないといった時は、一度医療機関を受診してください。